ギター講座(13) スリーフィンガー・ピッキング
スリーフィンガーは4本指を使う通常のフィンガーピッキングとは異なり、ひとつの奏法として確立されたものです。単純に指が3本だからスリーフィンガーと安直にネーミングされてるわけではありません。
もともとアメリカのカントリー音楽のノリから発展してきたスリーフィンガーピッキングは、日本では70年代のフォークソングブームに乗って一気に広まりました。
スリーフィンガーの名曲「Kathy’s Song(キャシーの歌)/ Simon & Garfunkel」
使いどころについて
日本の70年代フォークソングブームの頃は、猫も杓子もスリーフィンガーという状態で、スリーフィンガー奏法は是が非でも身につけなければならない一つの弾き方でした。
ところが、フォークブームが廃れていくと、それと同時にこの奏法も廃れていきました。今となってはこれを演奏している人は当時のフォークソングを演奏している人以外では見かけません。
当時の日本のフォークソングや、アメリカのカントリーからの流れを継いだPeter,Paul & MaryやSimon & Garfunkelなど、この辺りの音楽を射程に入れていない人は、使いどころがないので無理して覚える必要はありません。逆にこの辺の音楽がやりたいというならば、絶対に押さえておかなくてはならない弾き方です。
指の使い方とパターン
このように、普通のフィンガーピッキングとは違い、親指が4弦まで入ってきます。
親指は常に ルート→3弦→ルート→3弦 と往復します(茶色で書いてる音)。そして、その間に人差し指と中指が入ってきます。
親指の動きが独特のカントリータッチなノリを出すポイントになるので、それを意識することが大事。慣れてくると指が回ってくるようになるので、そうなったら出来るだけ速く弾くことがポイントです。スリーフィンガーはとにかく速いです。
親指のパターンにはもう一つある
さきほどルートと3弦を往復するのが普通と書いていますが、「ルート → 3弦 → ルートの5度上 → 3弦」となることも珍しくありません。下の譜面ではピンクの枠で囲ったところが親指の担当するところで、2小節目は動きがすこし複雑になっています。
1弦を使わないパターン
音域を狭めて安定感を出すためか、1弦を使わずに行うことも。
2弦…中指
3弦…人差し指
4〜6弦…親指
となり、親指はルートと4弦を往復します。ただしDだけは4弦にルートがあるので、1弦を使用します。
指だけが回っている状態は×
自分で何の指で何弦を弾いているか明確に分かっていないのはNGです。独学で長くされてきた方に多いパターンで、なまじ速く弾く必要があるためか、非常に雑になっている方が散見されます。親指で弾くべき音を人差し指で弾いたりなど、指使いにも妙な癖が付いてしまい、それが直らないケースも。
これを直すには自分でハッキリとコントロールできる速さまで落として、慎重に念入りにやるしかありません。とはいえ、自分で分かっていないため独学での矯正は難しいことも。お悩みの方は当教室のオンラインレッスンなども検討してみてください。スリーフィンガーを直したいという理由で、単発でもOKです。
実践してみる
Peter,Paul & Mary(ピーター・ポール&マリー)の「Puff(The Magic Dragon)」の冒頭風の進行。Bmが難しいですが、あとはそこまで難しくないので、ゆっくり弾いて間違えないように感覚をつかんでください。慣れてくると軽快に弾けるようになりますよ。