あの有名アーティストの使うコード
特定のアーティストやギタープレイヤーがあまりにも使いすぎて、そのコードやフレーズを聴くとその人が浮かんでくる、というケースがあります。面白いものを少し紹介してみます。
ポール・サイモン
G → C/G
ポール・サイモンが非常によく使うパターンの動きがこれ。彼の曲はこれが非常に多く登場します。これだらけの「Kathy’s Song(キャシーの歌)」を筆頭に「Scarborough Fair(スカボロー・フェア)」などでも登場。
C/Gのときに小指を置きっ放しにしているのが特徴ですが、今や誰もが使っているアコギの典型パターンと言えます。「サボテンの花」の冒頭はこれじゃないといけません。
アンディ・サマーズ
add9、madd9
The Police(ポリス)のギタリスト、アンディ・サマーズ。このフォームは「Message in a Bottle」や「Every Breath You Take(見つめていたい)」など、様々な曲で頻出。
左はコードネームにすると○add9、左が○madd9。マイナーの方はセーハしながら小指を右に持っていくという、指いじめに近いフォームに。これらの曲をコピーしようとするならば、これを攻略しなければなりません。ちなみにビートルズの「I Feel Fine」でも似たようなコードが登場します。
レノン&マッカートニー
A → D
「I’ve Got A Feeling」のイントロで使われるこのコード、前述のポール・サイモンのもののAバージョンともいえる動きです。人差し指で4本セーハして、小指を5fに。Dへは残った中指、薬指でハンマリングします。ジョンはこのコードの動きが好きみたいで、いろんなところで使っています。Aは普通のAよりも硬い響になるのが特徴。Dはルートを弾いていないので正確にはD/Aというのが正しいかも。
G
いまではすっかり珍しくなくなったこのGフォームですが、元々は「Yesterday(イエスタデイ)」でポールが弾いていたので有名になったとかいう逸話まであります。それが本当かどうかは怪しいですが、イエスタデイはチューニングを1音下げて、このGで弾くのが正しいです。ところが、ビートルズ解散後、ライブでは普通のGで弾いているという噂も。
エリック・ジョンソン
パワーコード
響きを重視し、とかく一般的からかけ離れたフォームばかり使っているエリック・ジョンソンですが、このパワーコードの形はまさにそれを体現している例と言えます。ルートを小指、その下にある4弦は小指でミュートし、2,3弦を人差し指、中指で押弦。無駄に難しいですが、これで押さえると確かに音が塊にならずにスッキリしたパワーコードになります。
元来パワーコードはそんなカタマリ感とでもいうべき、独特のパワフルな響きを得たいがために使用するわけですが、彼は音の分離が欲しい場合のみこのフォームを使い、普通のパワーコードと使い分けています。そのこだわりも恐るべしといったところ。
というわけで、5つほど挙げてみました。人に知られないフォームを自己流で使い続けて、いつの間にか一般的に使われている例なども数多くあります。一人のミュージシャンとしてその創造性には見習わねばならんなあと思います。