耳コピに挑戦してみよう
レッスン中たまに聞かれることですが、耳コピはどうやってやるんですか、というものがあります。
特に具体的にやり方が決まってるわけではないので、方法は色々あるし、最終的には経験がものを言うんですが、コツみたいなのはあるので、それを軽く記してみます。
ソロ編
単音の場合は比較的簡単。鳴った音を耳にとどめて、同じ音をギターの指板上で探すという作業になります。
弾きたいメロディを”歌う”
簡単なソロなどは歌えると良し。歌えれば絶対音は取れますからね。自分で歌ってみて、その歌った音と同じ流れのメロディをギターで拾っていくという作業が、一番簡単でかつ耳を鍛える練習にもなります。
速弾きやレガート
速弾きで聞き取れない場合は、ひたすら繰り返し聴いて根性で拾うか、速度を下げて拾うかです。後者は専用のソフトや機器がいりますが、最近は音程をそのままにテンポを落とすのも容易にできるので、どうしても無理な場合は使ってみてもいいでしょうね。
速いフレーズに関しては自分のレベルが上がると一音ずつが聞き取れるようになったりします。スポーツ選手の動体視力みたいなもんで、速いフレーズを点で聞き取る能力は、演奏能力が上がるほど並行して上がってきます。
レガートははっきり言って無理な場合が多いです。チョーキングはまだ分かりやすいですが、同じ音をハンマリングで出しているのか、スライドで出しているのかを完璧に判別するのは不可能です。これは前後のフレーズの運指から想像に頼ることも多い部分ですね。
コード編
コードは複数の音が同時に鳴ってるので、単音よりも当然難しいです。
コード進行を自分の中に蓄える
多数の曲を弾き語りで演奏したりしてると、コード進行のパターンが見えてきます。すると、その辺で流れている曲を聴くだけでコード進行が類推できたりします。コード進行の耳コピは結局これに頼ってることが一番多いですね。冒頭に書いた「経験がものを言う」というのはここに当たります。
バンドの場合ベースを聴く
ベースはその小節の最初の音にコードのルートを弾くのが普通なので、それを聴き取ります。ベースはまともなヘッドホンやイヤホンであれば普通聞こえるので、一番有効な手段。ルートがA(ラ)の音を弾いている場合、大抵AかAmのどちらかが当てはまります。A7はAの派生、Am7はAmの派生と考えると、このようにAかAmのどちらなのかさえ分かれば、その後の選択をぐっと絞れます。分数コードの対応が難しいのが難点ですが、初心者には一番易しいやり方です。
響きを覚える
メジャー、マイナー、7th…などのコードの響きを覚えると、今鳴っているコードが何なのかぐっとわかるようになります。これも実際に演奏の経験値によるところが大きいです。マイナーとマイナー7thだけは違いが分かりにくく、特にアコギの弾き語りなんかだと、聴いただけでの区別はかなり難しいです。そのせいで、同じ曲でも本によってAmがAm7になってたりします。分数コードの対応はこれが分かるとやりやすいです。
これは C→Cm→C7→Cm7→CM7 の順に並んだもの。
トレーニングしたい人はメジャー→マイナー→7thの順で響きを覚えていくといいかも。メジャー7thコードは少し響きが独特なので覚えやすいです。
一音ずつ聴き取る
この中でも一番難しいのがこれ。3つ4つ一気に鳴ってる音を一つずつ聴き取ります。音楽的素養と経験が両方ないと厳しいです。ギターの場合コードフォームが限られるので比較的簡単ですが、鍵盤ともなると、普通の人が完璧にやるのは困難。演奏上はコード進行さえわかれば問題ないので、ここまではやらなくていいことがほとんどです。
まとめ
アコギでは進行さえ分かればコードを鳴らせばいい場合がほとんど。時には指弾きのややこしいパターンもありますが、その場合は耳コピにもエレキ並みの細かさが必要です。
エレキはコードが分かった上でも、右手のミュートとか、時折入るオブリガードやアルペジオ、ギターソロも場合によっては登場するので、少々こみ入ったコピーが必要になります。とはいえ、エレキギターの歪んだ音でコードをかき鳴らすと、細部は判別不能になることも多く、最終的には感覚で演奏することになります。
市販されているスコアは正確性も低く、アテにならないことがほとんど。自分の耳を頼りにして感覚で演奏できるようにするためにも、ぜひ耳コピに積極的にトライしてみてください。