ギターで押さえるのが難しい分数コード

分数コード編もいよいよ最終章です。

過去記事はこちら↓

分数コード(オンコード)の役割
分数コード(オンコード)の種類について

今回はギターで押さえるのが難しいものを取り上げます。

コードは別にギターの専売特許というわけではなく、全楽器に共通なため、他の楽器(主に鍵盤楽器)には簡単でもギターでは難しい、というコードも当然登場します。バンド編成以上の複数人アンサンブルになると、コードを複数人で表現しているため、それが一つの楽器で賄おうとすると難しくなる、というケースもあります。

D/C

まずは初級編。C→D/Cなどというふうに登場。典型的パターンの進行に含まれます。

最もベーシックな押さえ方は高音源のDを人差し指セーハと中指で押さえ、5弦ルートを中指で押さえるパターン。

ただし、Cのあとに来ることが多いため、ルートに薬指を残し、D部分は他の指で押さえるやり方もOK。

E/G#

難しいものとしてはド定番。わりと出てくるので見たことのある人も多いのではないでしょうか。下のように普通にEを押さえてG#を押さえると、指がちぎれそうになります。というか小指が届きません。

というわけで、こんなフォームを使ったりします。

3弦4fは2弦開放と同じ、4弦2fはEの音で1弦開放と同じ、5弦は薬指で消える、ということで、うまくEの構成音だけを拾いつつ、ルートにG#を持ってきています。まあこれでも難しいんですが。

つぎにこんな形。これはD/F#をずらしたものに等しく、親指さえ使えれば押さえるのは簡単ですが、4,5弦のミュートが高難度。ミュートの必要がないフィンガーピッキング特化型としておくのが無難でしょうか。

意外に盲点なのがこれ。6弦を親指で押さえれればかなりマシな押さえ方です。4〜7フレットのハイポジションに掛かってくるのが難点でしょうか。ちなみにこれはCフォームを5〜7fで押さえたEコードを利用しており、フルで押さえると中にCの形が現れます。

Cm/Eb

普通の3弦セーハのCmからはEbのルートを足そうとすると、指が足りなくなります。1弦を削ってC6のようなフォームで押さえるのはアリでしょう。

6弦8fルートのCmを使うのは良い手段です。Cのルートを外してEbのルートを押さえるとこんな形に。

この際、近似のコードとしてCm→Cm7に変えてしまうことで、8fはまとめてセーハが可能になります。どうしてもCmを保ちたい場合、m7thの音である4弦8fを押さえずにミュートして消します

ちなみに、これはEb6と同じです。Cm7/EbとEb6はまったく同じ構成音となります。分数コードにはこういうのがとても多いです。

F7/Eb

Eb編第二弾。もとのF7から5弦のEbのルートははるか遠いです。

というわけで、F7のフォームを変える、またはEbに4弦のルートを使用する、の二通りが考えられます。

これは4弦ルートを使用したパターン。上二本をミュートなので、ストロークでは気を使います。

これは冒頭にあったD/Cをずらしたパターン。4,6弦をミュートする必要があります。F7ではなくF/Ebになっていますが、Ebの音自体がFにおけるm7thになっており、トータルで見るとしっかりとF7/Ebになっているため問題なしです。

このコードはこのぐらいしか押さえる手段がなく、なかなか厳しい運指を強いられることになります。基本的にはギターはピアノなどにくらべ運指の取りうる範囲が狭いため、どうしてもこういうケースは出てきます。

いかにしても押さえようがない場合は、音を省略したりして対処しますが、普通はカポを使ったりすることでそこまで難しいものは出てきません。

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